2022/05/05

なにもないけどなにかある

津軽には何もないが何かある。作家、太宰治の一文から津軽に行こうと
思い立ち、青森県五所川原行きの夜行バスに乗った。
木造駅から朝焼けの美しい津軽富士を見た。津軽中里の食堂では
無口な美男美女の若夫婦の心暖かいもてなしがあった。
古い駅舎をカフェにした店の窓からは東京ではすっかり散っていた五分咲の
桜が見えた。金木駅までの徒歩の道では親切に案内をしてくれた地元の人がいた。
津軽にはいろいろある。これが私の感想だ。

 

「なにもないけどなにかある」
これを表現に置き換えたらこんな素晴らしい褒め言葉はないかもしれない。

 

あのひとの芝居ってなにもないけどなにかある。
そう感じてもらえたらそれは最高なのではないだろうか。
そのためにできることはなんだろう。やれることはなんだろう。
久しぶりの夜行バスに揺られ少し痛む身体で見上げた東京の狭い空を見て思った。

 

フロム エス。