2018/05/22
芝居の基本を考える
是枝裕和監督がカンヌ国際映画祭で快挙を達成しましたね。
「幻の光」「誰も知らない」「そして父になる」
私はこの3作品しか観たことはないのだが、
3本とも共通して「これは台本があるのだろうか?」と思った。
まるでドキュメンタリーを見ているような感覚になる。
有名な俳優の方がたくさん出演されているのに、
すぐそこに自分の周囲で起きている出来事のように感じる。
この感覚はいったいなんだろうと思った。
今回の「万引き家族」の受賞インタビューで、
アナウンサーがやはり同様の質問をした。
「台本はあるのですか?」と。
出演したリリー・フランキーさんが答える。
「アドリブはないですね、台本とおりです。」
そして是枝監督が言った。
「役者さんの力量です。基本かもしれませんが、皆さん“受け”が出来る方ばかりなので」と。
芝居の基本は「受け止める」「伝える」の繰り返しであると
私自身も演技のワークショップでは必ず伝えている。
ともすると、「自分が何かする」と勘違いしがちだが、
相手を受け止めることで自然と演技は生まれてくる。
なにもしようとしてはいけないのだ。
この基本の繰り返しと監督の技術によって、
まるで周囲でおこっているかのような映画が存在するのかもしれないと思ったとき、基本ははずせない。
そしていつでも確固たるものとして、持ち続けなければならないと思った。
さて、「万引き家族」はいつ観にいこうかと今から楽しみにしている。
フロム。エス。