「歌唱力を高めるには腹式呼吸が基本」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
腹式呼吸は横隔膜をしっかり使って息を吸い込む呼吸法のため、声量や声の安定感の向上にも効果的です。
この記事では、腹式呼吸の仕組みや胸式呼吸との違い、メリットや正しいやり方について解説します。
腹式呼吸とは
腹式呼吸とは、横隔膜と呼ばれる胸部と腹部の間にある筋肉を上下に動かして行う呼吸法です。
通常の呼吸よりも多くの空気を取り込むため、歌や演劇、ヨガ、スポーツの分野でも広く用いられています。
特に歌においては、長時間安定した声を保つための基本的なスキルの一つです。腹式呼吸を習得すると、発声が安定し、より豊かで力強い歌声を出せるようになるでしょう。
胸式呼吸との仕組みの違い
胸式呼吸と腹式呼吸の大きな違いは、呼吸時に動かす身体の部位です。
胸式呼吸は胸部を膨らませて行う呼吸法で、浅く速い呼吸になる傾向があります。
胸式呼吸は交感神経を優位にし、緊張状態を高め身体の働きが活発になることが特徴です。
一方、腹式呼吸は腹部の動きを意識しながら鼻から深く息を吸い、ゆっくりと口から吐き出します。
この方法は副交感神経を活性化し、心を落ち着かせたりリラックスしたりする際に効果的です。歌うときにも腹式呼吸が適しており、声の安定性や音程のコントロールの面でも優れた効果を発揮します。
腹式呼吸で歌うメリット
腹式呼吸は、歌声をより美しく安定させるための重要なテクニックです。
ここでは、腹式呼吸を取り入れることで得られる具体的な5つのメリットを紹介します。
リラックス効果がある
腹式呼吸は副交感神経を優位にするため、身体と心をリラックスさせる効果があります。
人前で歌うことに緊張する方やステージに立つと不安になる方にとって、ゆっくりと深く腹式呼吸をすることは非常に有効です。
また、呼吸を整えることで自然と心拍数も落ち着き、感情のコントロールがしやすくなるでしょう。腹式呼吸でリラックスすると、身体や喉の余計な力も抜けて声を出しやすくなります。
声量が出しやすくなる
腹式呼吸は肺に多くの空気を取り込めるため、自然と声量が増します。息が続くため伸びやかな声になり、歌の表現力も高められることがメリットです。
喉の負担が軽減される
腹式呼吸を使った発声は声をお腹から支えるため、喉に余分な力を入れずに歌えるようになります。
発声時の喉への負担を軽減できるため、長時間歌っても声がかすれにくくなることも大きなメリットです。
特に高音を出す際に喉に力を入れてしまう方は、腹式呼吸を練習すると高い声も出しやすくなるでしょう。
ロングトーンが習得しやすくなる
一定の音を長く伸ばす「ロングトーン」を美しく響かせるには、息を一定の量でゆっくりと吐き続ける必要があります。
息を多く吸い込む腹式呼吸は安定して息を吐けるようになり、呼吸の回数も減らせるため、ロングトーンや長いフレーズを歌う際にも効果的です。
息を吐く量をコントロールしやすくなる
横隔膜を動かして多くの酸素を取り入れられる腹式呼吸は、息を吐く量もコントロールしやすいことが特徴です。
息の量をコントロールできると、声の強弱や繊細な息遣いを表現できるため、歌詞やメロディに感情を込めやすくなり、聴き手に訴えかけるような歌声になるでしょう。
【歌がうまくなりたい方必見】腹式呼吸のやり方
腹式呼吸は、正しい手順で継続的に行うことで自然と身に付けられます。
ここでは誰でも実践できる4つのステップで腹式呼吸のやり方を紹介します。
①背筋をまっすぐ伸ばして姿勢を正す
腹式呼吸を行う際は姿勢を整えることが大切です。背筋を伸ばし、肩の力を抜いてリラックスしましょう。
猫背や前かがみの姿勢だと横隔膜の動きが妨げられ、正しく呼吸できません。立っていても座っていても、身体の軸をまっすぐに保つことがポイントです。
②丹田(おへその下)に手を置く
次に、お腹への意識を集めるために「丹田」に手を置きます。丹田はおへその約5cm下、身体の中心にあり、呼吸や力をコントロールするための重要なインナーマッスルです。
丹田に手を置くことで、お腹を使って呼吸できているかを感覚的に確認できるようになります。
③丹田を意識しながら鼻から息を吸い込む
手を置いた丹田を膨らませるようなイメージで、ゆっくりと鼻から息を吸い込みます。このとき肩や胸が動いてしまうと胸式呼吸になってしまうので注意しましょう。
お腹の膨らみを感じることで、横隔膜がしっかり働いていることが分かります。
④時間をかけてゆっくりと息を吐き切る
息を吸い込んだら今度はゆっくりと口から吐き出します。お腹の力を抜かず、丹田を軽く引っ込めるような意識で最後まで吐き切りましょう。
このとき、息を吸う時間よりも、吐き出す時間の方が長くなることがポイントです。目安としては4〜5秒かけて息を吸い、8〜10秒かけて吐き切ります。
この呼吸を1日10〜20回ほど繰り返すことで、少しずつ身体が腹式呼吸を覚えていきます。
リズムを崩さず、無理のないペースで行うのがポイントです。
腹式呼吸を習得するコツ
腹式呼吸をうまく身に付けるには、正しいやり方だけでなく取り組み方にもポイントがあります。
以下の3つのコツを意識して練習することで、よりスムーズに習得できるでしょう。
緊張をほぐす
呼吸は心と身体の状態に大きく左右されます。緊張していると自然と呼吸が浅くなり、腹式呼吸がうまくできません。
練習前には軽くストレッチをする、目を閉じて深呼吸をするなど、自分がリラックスできる方法で身体と心を落ち着かせることが大切です。
緊張が解けることで、横隔膜の動きがスムーズになり、腹式呼吸の感覚もつかみやすくなります。
無理せずに継続する
腹式呼吸の習慣は短時間で身に付くものではありません。
最初は意識的に行っても、うまくできないこともあるでしょう。大切なのはできる範囲で無理せず毎日少しずつ続けることです。
腹式呼吸はどこでも気軽に行えるので、気が付いたときに練習することを意識し、継続して行うと良いでしょう。
仰向けの体勢で慣れるところから始める
立った状態は腹部に力が入りやすく、最初は腹式呼吸を感じにくいことがあります。
そんなときは、仰向けになって練習するのがおすすめです。床やベッドに横になり、全身をリラックスさせることでお腹の動きをより意識しやすくなります。
慣れてきたら、座ったり立ったりした姿勢での練習に移るとスムーズです。
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腹式呼吸は歌の基本!マスターして歌唱力を高めよう
腹式呼吸はリラックス効果や声量の向上、喉への負担軽減など、習得できると多くのメリットがあります。正しい姿勢や呼吸のコツを押さえ、継続的に練習することで自然と習得できるでしょう。
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