話しているときや歌っているときなどに「ピチャ」「クチャ」といった音が出てしまうことがあります。
これは、「リップノイズ」と呼ばれる口や舌の動きによって発生する雑音です。
リップノイズは歌の収録や声優のアフレコなど、音声にこだわる場面では大敵となる存在ですが、いくつかのポイントを意識すれば対処することができます。
この記事では、リップノイズの原因や対策、そして効果的な改善方法を紹介します。
リップノイズとは
リップノイズとは、口や舌、唇などを動かす際に発生する「ピチャ」「クチャ」といった微細な音のことを指します。
普段の会話ではあまり気にならないかもしれませんが、高感度のマイクを使用するレコーディングやアフレコの現場では録音された音声に残ってしまうため、音声を収録する際の大きな妨げとなります。
リップノイズは聴き手に不快感を与える可能性があるため、声優やナレーター、歌手など音声を扱う仕事においては、リップノイズの発生を最小限に抑えることが大切です。
ポップノイズとの違いは?
リップノイズと似た用語に「ポップノイズ」があります。
ポップノイズとは「パ行」を発声した際に、息が直接マイクに当たることで発生する「パフッ」「ポフッ」といった破裂音のことです。
リップノイズが口腔内の動きに由来するのに対し、ポップノイズは主に呼気によるものという違いがあります。
しかし、どちらも録音時には問題となるため、正しいマイクの使い方や対策が重要になるでしょう。
リップノイズはなぜ起こる?
リップノイズの発生には、口腔内の状態や体調、環境などさまざまな要因が関係しています。
次に、リップノイズの代表的な原因を紹介します。
唾液の分泌過多
唾液が過剰に分泌されていると、口の中で音が鳴りやすくなります。
特に緊張状態や話すことに集中しすぎると、粘着性のある唾液が増えることがあるため注意が必要です。
また、甘い飲み物や飴、ガムなどを口にした後にも唾液量が増えやすく、リップノイズの原因になります。
ただし、口腔内の唾液が少なすぎてもリップノイズの原因となるため、唾液の分泌バランスを整えるためにリラックスしたり、収録前の飲食物に気を付けたりすると良いでしょう。
口の中が乾燥・ベタついている
口の中が乾燥していると、粘りのある唾液になりリップノイズが起こりやすくなります。
乾燥や粘つきは、空気の乾燥、緊張、ストレス、または水分不足によって引き起こされることが多いため、日頃から水分をこまめに摂取し、収録前にはうがいや深呼吸を行うことで口腔内の環境を整えることが大切です。
唇が乾燥している
唇の乾燥もリップノイズを引き起こす原因の一つです。
乾いた唇が話したり歌ったりするたびに摩擦が起こり、余計なノイズがマイクに拾われてしまうことがあります。
特に冬場やエアコンの効いた部屋では乾燥しやすく、気付かないうちにノイズの原因となっていることもあるでしょう。リップクリームなどを使い、唇の保湿を習慣付けることでノイズの軽減につながります。
リップノイズは除去できる?直し方を紹介
リップノイズは、ちょっとした習慣の見直しやトレーニングを行うことで改善・軽減が可能です。
ここからは、日常生活に取り入れやすい対策法を紹介します。
唇を保湿する
唇の乾燥はリップノイズの大きな原因です。そのため、日頃からリップクリームを塗り、唇の保湿を心がけることが重要です。
ただし、塗りすぎると唇がベタつき、かえってリップノイズが発生しやすくなるため適度に塗ることを意識しましょう。
リップクリームは塗ってから時間が経つと保湿効果が薄れてしまうため、こまめに塗るか、収録の直前に塗るのがおすすめです。
全身をリラックスさせる
リップノイズは、緊張によって粘度の高い唾液の分泌が増えたり、逆に口が乾いたりすることで発生しやすくなります。
そのため、録音前には深呼吸やストレッチなどで心身をリラックスさせることが大切です。
軽い体操や肩を回す運動を取り入れるだけでも、筋肉がほぐれて自然な発声がしやすくなるでしょう。
香水やアロマなど、リラックスできる香りや好きな香りを取り入れるのも効果的です。
適度に食事を取る
空腹状態では唾液の分泌量が乱れたり、口の中が乾きやすくなったりするため、リップノイズが起こりやすくなります。
そのため、収録前に軽く食事を取ることも効果的です。食事ではよく噛むことで唾液が分泌され、口腔内の唾液量も適度に保てます。
ただし、脂っこいものや甘いものを避け、消化の良い食べ物を選ぶことがポイントです。水分補給も兼ねられるフルーツやスープなどを選ぶと良いでしょう。
水分をこまめに補給する
水分不足は口腔内の乾燥を招き、リップノイズの原因になります。日常的にこまめな水分補給を心がけることで、口腔内の潤いが保たれ、ノイズの発生を抑えられるでしょう。
ただし、炭酸飲料やカフェインが入っているコーヒーなどは、喉を乾燥させる原因となるためおすすめできません。
甘い飲み物も口腔内がベタベタしやすくなるため避けたほうが無難です。
口腔内を清潔に保つ
食後の歯磨きやうがいをしっかり行い、口腔内を清潔に保つことで口腔内のベタつきを解消できます。
舌苔(舌の汚れ)や歯の隙間の汚れもしっかり取ると、唾液が粘つくのを防げるでしょう。
収録前の歯磨きを行うことも効果的ですが、日頃から毎食後、少なくとも朝・夜の2回は必ず歯を磨く習慣を付けることが重要です。
鼻呼吸をする
口呼吸が習慣になっていると、口腔内が乾燥しやすくなりリップノイズが発生しやすくなります。
そのため、普段から鼻呼吸を意識することが重要です。鼻呼吸は口腔内の湿度を保つだけでなく、深い呼吸をすればリラックス効果もあり、自然で安定した発声を促します。
口呼吸の癖が付いていると、顎や口まわりの筋肉が衰えて口が開きやすくなり、口腔内の乾燥にもつながるため注意が必要です。
ボイストレーニングを取り入れる
定期的なボイストレーニングを行うことで、発声時の口や舌の動きが滑らかになり、リップノイズの発生を抑えることができます。
特に、リップロールや舌のストレッチ、呼吸法の練習などは効果的です。
発声や呼吸方法を正しく身に付けたい方は、プロの指導を受けることで自分の癖や問題点も把握しやすくなり、効率的な改善が期待できるでしょう。
リップノイズを改善するならテアトルアカデミーで基礎を学ぼう
リップノイズを減らすにはいくつかの対処法がありますが、基礎的な発声方法や呼吸のコントロールのテクニックも必要です。
リップノイズを減らし、発声や歌のスキルアップを目指すなら、テアトルアカデミーの「ON-LABO」でプロのレッスンを受けると良いでしょう。
「ON-LABO」は、未経験でもプロの歌手を目指せるプロジェクトです。
呼吸法や発声、滑舌など、リップノイズを抑えるための基礎を音楽業界で活躍するプロの講師から学べます。独学よりも効果的・効率的にスキルアップでき、実践的な力が身に付く環境が大きな魅力です。
中学生~30歳向けの「ON-LABOコース」、31歳以上を対象にした「ON-LABO NEXT」があり、年齢や個人のレベルに応じて丁寧な指導が受けられます。
リップノイズを改善して収録に挑もう!
リップノイズは唾液の分泌過多や口腔内・唇の乾燥などが原因で発生し、音声収録を妨げる原因になります。
唇や口腔内の保湿・水分補給、リラックスした状態での収録、ボイストレーニングなどを習慣化することで、改善を目指しましょう。
リップノイズを改善し、歌や発声テクニックをスキルアップしたい方は、テアトルアカデミーの「ON-LABO」がおすすめです。
プロの講師によるレッスンで基礎をしっかりと身に付けて、自信を持って収録に臨めるスキルを得られるでしょう。