歌の上達や歌手を目指す方にとって、音域の広さや高音の出し方を課題に感じているケースは少なくありません。
ミックスボイスは、地声と裏声をスムーズにつなぐ発声方法で、多くのプロアーティストが活用する歌唱テクニックです。ミックスボイスを習得することで、音域が広がる、表現力が向上するなどのメリットがあります。
この記事では、ミックスボイスについて基礎的なことから練習方法、出し方のポイントまで詳しく解説します。
ミックスボイスとは何?
ミックスボイスとは、地声(チェストボイス)と裏声(ファルセット)を組み合わせた中間の声のことです。
地声の力強さと裏声のやわらかさをバランスよく融合させることで、高音域でも安定した響きのある声を出せるようになります。
歌うときは、低音域では地声、高音域では裏声を使うことが多いです。
地声のまま高音を出そうとすると声が詰まって苦しくなったり、無理に力を入れることで喉に負担がかかったりします。
また、裏声だけだと声が弱くなりがちで、力強い歌声を維持するのが難しくなります。
その点、ミックスボイスは地声と裏声の中間の響きを持ち、喉に負担をかけずに安定した高音を出せる発声方法です。
地声と裏声の違いについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
ミックスボイスで歌うアーティスト
ミックスボイスを駆使している代表的なアーティストの一例は、以下の通りです。
- 槇原敬之
- 草野マサムネ(スピッツ)
- 稲葉浩志(B’z)
- 秦基博
- 藤原聡(Official髭男dism)
- Superfly
- アンジェラ・アキ
- 宇多田ヒカル
どのアーティストもよく通るきれいな高音の声が特徴ですが、地声と裏声のバランスによって声のやわらかさ・硬さに違いが出るため、歌う人によって印象も大きく異なります。
ミックスボイスを練習するメリット
ミックスボイスを習得することで、歌唱力が向上し、表現の幅が広がるだけでなく、喉への負担を軽減することもできます。
特に、高音域の発声が楽になり、より自由に歌えるようになるでしょう。
ここでは、ミックスボイスを練習することで得られる具体的なメリットについて解説します。
表現力が向上する
ミックスボイスを身に付けることで、歌声のニュアンスを細かくコントロールできるようになります。
音程や音色を自在に使い分けることが可能になるほか、喉の負担を減らせるためロングトーンやビブラートなどのテクニックも使いやすくなり、表現力が向上するでしょう。
例えばバラードでは優しく切ない高音を、ロックでは力強い高音を出せるようになり、歌唱中の感情表現がより豊かになるでしょう。
音域が広がる
ミックスボイスを習得すると、地声のままでは出せなかった高音域にもスムーズに移行できるようになります。
無理に力を入れなくても高音が出せるため、低音から高音まで均一な声質を保ったまま歌うことができるようになることもメリットです。
歌えるジャンルの幅が広がる
ミックスボイスを身に付けると、ポップスやロック、バラードなどさまざまなジャンルの歌に挑戦できるようになります。
力強いロックボーカルや伸びやかな高音パートのある曲も、ミックスボイスで対応可能なほか、音程の起伏が多いアニメ・キャラクターソングもレパートリーに入れられるでしょう。
ミックスボイスを習得することで、高音域を多用する曲が多いJ-POPや洋楽なども歌えるため、カラオケの曲の選択肢を増やせます。
声が安定する
ミックスボイスを練習すると、声帯のコントロールが向上し音程が安定することから、声が裏返ったり枯れたりしにくくなります。
また、ミックスボイスは喉の負担が軽減され長時間歌っても疲れにくくなることも大きなメリットです。
ミックスボイスの出し方とは?
ミックスボイスを出せるようになるには、正しい発声方法を理解し、段階的に練習することが重要です。
ミックスボイスは、地声と裏声のバランスを取りながら発声するテクニックのため、まずは基本的な発声トレーニングを身に付け、徐々にミックスボイスの感覚をつかみましょう。
続いては、ミックスボイスを出すための練習方法を紹介します。
腹式呼吸を意識する
ミックスボイスを出すには、安定した息の流れが必要不可欠です。喉に力を入れすぎず、スムーズな発声をするためには、腹式呼吸をマスターしましょう。
腹式呼吸の方法は以下の通りです。
- 仰向けになり、リラックスする
- お腹の上に手を置き、息を吸うときにお腹が膨らみ、吐くときにへこむことを確認する
- 鼻からゆっくりと息を吸い、吸うときよりも時間をかけて息を吐き出す
- 慣れてきたら、立った状態でも腹式呼吸を意識して行う
裏声を練習する
ミックスボイスを習得するためには、裏声(ファルセット)をしっかり出せるようになることが重要です。
裏声の練習は、鼻から息を抜くように「ナ」と発声しながら、地声から徐々に音程を上げていき、裏声に切り替わるポイントを探します。
この「地声と裏声の境目」を意識しながら地声から裏声、裏声から地声に戻る練習を繰り返すと、スムーズに音程を調整できるようになるでしょう。
ハミングで鼻腔に声を響かせる
ハミングは口を閉じて歌う方法で、鼻腔をうまく共鳴させることで喉への負担を減らしながら発声します。この「鼻腔共鳴」の感覚をつかむことがミックスボイスを出すポイントです。
ハミングの方法は以下の通りです。
- 唇を閉じたまま「んー」と音を出す(このとき、鼻の奥や額に響く感覚を意識する)
- 「んー」の状態から、少しずつ口を開いて同じ音を出す
- 鼻腔共鳴の感覚がつかめたら高めの音域でハミングし、響きが鼻腔に伝わる感覚を確認する
喉が開く感覚をつかむ
安定したミックスボイスを出すには、喉が開く感覚をつかむことも重要です。
喉が開いているのを確認するのは、以下の方法が効果的です。
- あくびをするように口を大きく開け、鏡で喉が開いているか確認する
- 力を抜いて「はぁー」と息を流しながら声を出す
- 「あーーー」と声を出し、口を開けたまま声を止める・出すを繰り返す
ミックスボイスの出し方のポイント
ミックスボイスを習得するには、単に発声練習をするだけでなく、喉の使い方や身体の状態を整えることも大切です。
適切なウォーミングアップやトレーニング方法を取り入れることで、よりスムーズにミックスボイスを出せるようになるでしょう。
次に、ミックスボイスの出し方を身に付ける際のポイントを紹介します。
身体と喉のウォーミングアップをする
ミックスボイスを出すには、喉の筋肉や全身をリラックスさせ、発声しやすい状態を作ることを意識しましょう。首や肩まわりのストレッチや深呼吸をしてリラックスするほか、ハミングやリップロールなどのウォーミングアップをするのがおすすめです。
リップロールは唇を閉じたまま息を吐き、「ブルルル」と唇を振動させる発声練習です。
舌を下げることを意識する
舌の位置は、ミックスボイスの発声に大きく影響します。舌が持ち上がると喉が狭くなり声が詰まってしまうため、舌を下げることを意識しましょう。
表情筋のトレーニングをする
表情筋を鍛えることは、声の響きを良くしスムーズな発声にもつながります。特に口の開き方や唇の動きを意識することで、声がこもらずクリアになるでしょう。
表情筋のトレーニングは、以下の方法がおすすめです。
- 「あ・い・う・え・お」と大きく口を開けながら発音する
- 酸っぱいものを食べたときのように顔のパーツをぎゅっと閉じ、思い切り開くのを繰り返す
練習しやすい曲を選ぶ
ミックスボイスで歌われているパートのある曲を選んで歌うことで、効率良く楽しく練習できます。初心者は、地声と裏声の中間の音域が多く使われている曲を選ぶと良いでしょう。
ミックスボイスの練習におすすめの曲の一例は以下の通りです。
- スキマスイッチ「奏(かなで)」
- 秦基博「ひまわりの約束」
- スピッツ「ロビンソン」
- 平井堅 「瞳をとじて」
- 宇多田ヒカル「First Love」
- Superfly「愛をこめて花束を」
- AI「Story」
- MISIA「アイノカタチ」
これらの曲は、ミックスボイスの感覚をつかみやすいメロディラインを持っているため、良い練習となるでしょう。
プロのレッスンを受けるのもおすすめ
ミックスボイスを習得するには腹式呼吸や裏声、共鳴などの基礎が必要となるため、独学では時間がかかる可能性があります。
また、独学で誤った発声方法が身に付いてしまうと直すのがなかなか難しいかもしれません。
正しい発声・練習方法を基礎から身に付けるなら、プロのレッスンを受けるのも効果的です。特に、独学で練習していてもなかなか上達しない方や、喉に負担を感じる方は、プロの指導を受けることをおすすめします。
プロのレッスンを受けると以下のようなメリットがあるため、効率的に上達したい方は参考にしてください。
- 自分の声の特徴を分析し、最適な練習方法を提案してもらえる
- 間違った発声を修正してもらえるため、喉を痛めるリスクが減る
- 1人では気付かない細かい発声のコツを学ぶことができる
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ミックスボイスを練習して表現の幅を広げよう!
ミックスボイスは音域が広がり、歌の表現力が豊かになる歌唱テクニックです。習得すると歌がうまくなったり歌のレパートリーが増えたりと、多くのメリットがあります。
ただし、腹式呼吸や裏声、共鳴などの基礎を身に付けていないとミックスボイスの習得は難しいため、プロのレッスンを受けるのも一つの方法です。
レッスンを受けることで、ミックスボイスをはじめビブラートやしゃくりなどさまざまな歌唱テクニックも身に付けられるでしょう。
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