2018/08/28
本館受付のエスよりアイをこめて ~残暑お見舞い申し上げます~
「俳優というのはな、人に非ずと書くんだわかるか!」
「人に非ずでありながら、優れているというのが俳優なんだ!!」
芝居を始めた頃、恩師に言われた言葉だ。
まるで意味がわからなかった。
それからウン十年。なんとなくであるが、人に非ずの意味がわかってきた。
役者という特質からなのか、普通なら見過ごすであろうこともそれができない。
人間の持つ、ずるさ、醜さ、残酷さ、おろかさ、儚さなど、マイナスであろう部分を
真っ向から受け止めてしまう。
自分のなかの心のぐしゃぐしゃをいちいち受け止めてしまい、他人のぐしゃぐしゃをも
いちいち敏感に感じてしまう。
要は、とても面倒くさい人間になってしまったように思う。
心のぐしゃぐしゃを見事に芝居として表現できれば「優れている」となるのであろうか、それが出来ないとなると、単に「人に非ず」のみのどうしようもない人間になってしまうということだ。
そんなどうしようもない私が受付に座っている。
そう、「どうしようもない私が歩いている。」ように。
ただひたすらに、優れた人になって欲しいと心から皆さんへメッセージを送りながら。
フロム エス。